不動産で争続にならないための相続対策

今回は相続人が複数いたときに不動産が基にトラブルになることに関してです。相続が発生した場合の遺産の配分方法は大きく分けると法定相続と遺言による相続があります。

ここでは一般的な法定相続のケースで、不動産で争続にならないための対処法や実際にあった事例をご紹介致します。

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法定相続分の計算方法とは

夫婦とお子様が3名の5名家族で、ご主人がなくなった時を例とすると法定相続分は次の通りです

2分の1
長男6分の1
次男6分の1
三男6分の1
法定相続の場合

相続財産が現金や有価証券等だった場合には分割は簡単です。

例えば6,000万円の預貯金があった場合、妻:3,000万と、子供たちがそれぞれ1,000万円を相続することとなります。

これに対して、不動産のような分割しにくいものの場合はどうなるでしょうか?

今まで育った思い入れのある家だからしっかりと守っていきたい気持ち、子供たちからすればお母さんが住む家を守っていきたい気持ちが本音でしょう。しかし、子供たちの成長と共にそれぞれの人生があります。なかには相続した分を換価して自分の人生のために使わせてもらいたいというケースも少なくありません。

では、不動産を売却せずに相続問題を避けるための方法をご紹介します。

現物分割

相続した不動産を相続割合で分筆して、それぞれが単独の所有者になる事です。

例えば120坪の土地があった場合に妻が60坪と、子供たちがそれぞれ20坪を所有する方法ですが分筆して土地形状が悪化して資産価値が下がってしまう事や、土地上に建物が建っていて二筆に跨ってしまっている場合などの建物の処理に関しての課題があります。

代償分割

相続人で売却したい人がいる場合、売却したくない人が対象持分を買ってあげる方法です。

例えば次男一人が売却したいというケースなら、残り3人で協力してお金を準備して買い取りしやすいと思いますが、逆のケースで3名が売却したい場合、一人でお金を準備しなければならないので資金調達の課題があります。

前述した2つの方法は買い取ってあげられるだけの資力が必要です。銀行からの融資を受けるといった方法もありますが、年齢の問題や住宅ローン等の他の借り入れの有無によりハードルが高くなります。

そのため相続した後に有効的な対策ができないまま時間が過ぎていくと、どのような問題が発生するでしょうか?ここからは実際にあった事例をご紹介致します。

CASE1.共有持分者が競売にかけてきた!

父が他界して母と子供たち3名に遺産相続が発生。母と同居する長男、嫁に嫁いでいる長女は相続した家を守る事に賛成しているが、独身の次男は売却して現金を受け取りたいと意見が衝突する。

父は生前、小さな商店を営んでおり長男が跡を継いで母と家族経営しているが経営資金のために次男から買い取る余裕がなく、長女はサラリーマン家庭に嫁いでいるため余裕がない。

しかし次男も借金の支払いのためどうしてもお金が必要だった。

このような状況から現物分割も代償分割も話が座礁に乗り上げてしまって暫くたったころに裁判所から一通の通知が届く。

内容とは不動産が競売申し立てを受けてという内容だった。次男以外の家族は何のことか全くわからない。次男の連帯保証をしたわけでもなく商店を担保に入れた覚えもない。

これは共有物分割請求訴訟に基づく判決という事が分かりました。では共有物分割請求訴訟とは何でしょうか?共有者と協議調停しても合意できなかった場合、共有者それぞれの利益を平等に守るために裁判所が判決を下すことが目的です。

CASE2.相続したら息子が急変!母と息子夫婦の財産トラブル

夫が他界して妻と一人息子に遺産相続が発生して法定相続に基づき2分の1づつ現金等の有価証券等と不動産を相続する。自宅のほかに収益不動産があったため賃料収入で、軽度の障害を持ち働けない独り身の息子と同居していた。

息子の年齢が40歳を超えたためお見合いを進めていたところ、離婚歴あり子持ちの女性と縁談がまとまり一安心した。

しかし、暫くしてから嫁が同居を相手が望んでいなかったことや、些細な価値観・生活習慣の違いから衝突が増えて、息子が新たに家を購入して別居することとなる。

この頃から連絡が直接つかくなり、第三者を介して共有持分になっている収益物件を息子、自宅を妻のそれぞれの名義に現物分割したいと申し入れがあった。

収入減がなくなり分割後の自宅の固定資産税等の支払どころか、生活自体が困難になってしまうことで現実的に受け入れがたい話だが、それ以前に息子が結婚したことによる変貌に心が痛い。

現物分割することで息子家族が幸せになるなら受け入れて、自宅を売却した資金で施設入居を考えていたが嫁に騙されていないか心配で、専門家に相談したところ次のようなアドバイスを受けて現物分割を留まる。

「息子さんとの現物分割が成立して、それぞれが単独名義になった場合、財産処分は当人のみで行える。また、息子さんと離婚した際に収益物件の財産分与を求めてくるかもしれない」

争続を回避するために有効な換価分割

分割が難しい不動産を共同で相続する場合の懸念されるトラブルを回避する方法として、生前に全部または一部の不動産を売却して現金化しておくことをお薦めします。相続が発生した後だと売却価格の決定方法に関するトラブルが見受けられます。誰か一人が価格に納得がいかないので承諾しないといった場合は売却することが出来ず、結果としてズルズルと売却が延びてしまい新たなトラブルに発展しかねません。

資産5,000万円~3億円の資産がある遺産相続のトラブルが最も高いと言われています。

家族がいがみ合うことなく助け合い、手を取り合って仲良く過ごしてもらうための終活として、換価分割をお考えになられてみてはいかがでしょうか?

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